第115章

「春、中に入って医者を呼んで!」

葵は車椅子の肘掛けを叩きながら叫んだ。

圭治が人を引き連れて飛び込み、一通りの検査を終えると、外に向かって手振りを交えた。

「しぶといな。本当に目を覚ました」

葵は安堵の息を吐き、車椅子の背もたれにぐったりと寄りかかった。手のひらは冷や汗でびっしょりだ。

和也は一般の強化治療室へ移された。

葵は悠に車椅子を押してもらい、病室へ入る。

病室の中は静まり返っていた。和也は枕に寄りかかっており、顔色は相変わらず蒼白だが、その瞳はずいぶんと澄んでいた。

「生きてたのね」

葵が口を開く。第一声は石のように硬かった。

「死に損なって、期待に添えなかっ...

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